ひときわ目立つ植物を発見
5月上旬、本州中部の高原地帯にも遅い春が訪れました。
この時期は、タラノキやコシアブラなど名だたる山菜たちが芽を出し始め、山を歩く目線も下から上へと向きがちです。
そんな春の山で、林床のひときわ目立つ巨大な植物が視線を奪いました。

存在感のある葉が、林床で異彩を放っている。
これは「オオウバユリ」という植物で、大型になるウバユリの変種です。若葉の時点で直径40~70cmほどの大きさがあります。西日本に分布する小型種のウバユリとは異なり、オオウバユリは寒冷地を好み、日本では北海道・南千島と本州中部以北に分布しています。
今回発見したのも本州中部に位置する標高1200mほどの山地でした。

沢筋や谷筋などの、やや湿った土地に生えるようだ。
アイヌの人々は「トゥレプ」と呼び、この鱗茎(球根)を食用にしたそうで、食料として重要な位置付けだったようです。

かなり大きく、カブかタマネギ位の大きさ。
採取してみると、なかなか立派な鱗茎が姿を現します。
大きいものはタマネギ位のサイズ感があり、葉や茎の質感もザ・野菜と言った感じです。
根はあまり深くなく、簡単に採取することができました。
山野草や山菜の採取には、土地の所有者の許可が必要な場合があるためお気をつけください。
オオウバユリの下処理
洗う

鱗茎の隙間にも泥があるのでしっかりと洗う
採ってきたオオウバユリの根には泥が付着しているので、先ずはしっかりと洗います。
鱗茎は、その名の通りウロコのような組織が集まって形成されているので、隙間には泥が詰まりやすく、しっかり洗わないと食べる時にジャリジャリします。

一枚一枚の鱗片が重なって、一つの球根になっている
鱗片を剥がす
次は鱗片を1枚ずつペリペリと剥がしていきます。繊維質で裂けやすいため、根元に切れ込みを入れるときれいに分離できます。

剥がした鱗片
今回、鱗片の端が黒く枯れたようになっていたため、その部分をカットして綺麗にしていきます。
恐らく、昨年に茎葉だった部分が枯れ落ちて鱗片になるのでしょうか?

黒い部分を取り除く
取り除いたものがこちらです。水にさらしてあく抜きをしておきます。

水にさらしてあく抜き
鱗片を剝がした後に残る茎の白い部分もかなり大きさがあるので、今回はカットして同様に調理することにしました。

茎部分もかなり大きさがあるのでもったいない
茹でてさらにアク抜き
本種にはサポニンが含まれる事もあるということで、今回は念押しで茹でてから使用することにしました。
結論、アクはほとんど感じられず、茹でることで水っぽさが出てしまうため、揚げ物なら本種の球根や白い部分は水さらしで十分かもしれません。

茹であがったオオウバユリ
天ぷらに揚げる
ここからは普通の天ぷらと同じように、お好みで揚げていきます。

市販のてんぷら粉を使用

お好みの揚げ具合に。

完成したオオウバユリの天ぷら
実食

オオウバユリ(トゥレプ)の天ぷら
鱗片部分はタマネギに近いような食感で、繊維質が感じられます。しかし、しっかりと甘みがあり、内側はホクホクというよりはとろけるような食感です。

トロっとした甘いでんぷん質の中に、ややワイルドな繊維が感じられる。
茎・芯の部分を食べてみると、なんとこちらは甘味が強く、繊維も気にならずとても美味。これは捨てずに食べるべきですね。

茎・芯の部分は甘味も強く、繊維も気にならない
オオウバユリ(トゥレプ)を食べる

今回は、アイヌ語でトゥレプとも呼ばれるオオウバユリを採取して食べてみました。
アイヌの人々にとって、寒冷地でも大きく育ち立派な球根を形成する本種は貴重なでんぷん源であり、重要な食料だったに違いありません。
そんな植物が関東地方でも標高の高い一部の地域で自生しており、採って食べることができるというのはとてもロマンがありますね。
本州アイヌが存在したか、については諸説ありますが、各地にアイヌ語由来とも考えられる地名や山名が残っています。本当に存在したなら、山奥でこれを採って食べていたのでしょうか。想像が掻き立てられます。


