マツバガイを採る
大型個体を発見
その日は外洋に面した岩場の磯で、シュノーケリング・フィッシングを楽しんでいた。潮位はちょうど干潮から上げ潮に差し掛かるタイミング。
晴れて気温も高く、いかにも夏らしい暑い一日だった。休憩時に岩肌を眺めていると、岩陰にひときわ大きなマツバガイを発見。

イメージ(出典:PhotoAC)
せっかくならこれは刺身にしてみようと、その場で採取することに決めた。
マツバガイの特徴
マツバガイは、貝殻の表面に放射状の模様があるのが特徴。日本の磯で見つかるカサガイ類の中では最も大きく育つ部類で、昼間は岩陰になっているスキマなどで見つけることができる。

殻をひっくり返して覗いてみると、これがなんともゆるキャラのような顔をしていて、ちょっと笑ってしまう。思わず顔のアップを撮影してしまった。

ゆるキャラのような顔
今回刺身にしたのは、マツバガイとしては最大級ともいえる直径8~10cmほどの大型個体。焼き用も合わせて、この日採取したのは全部で5、6個ほどだった。
カサガイ類は漁業権が設定されている地域もあり、規制の有無や範囲は地域・漁協ごとに異なるため、採取前には必ず漁業協同組合や自治体へ確認したい。場所によってはビッシリと群集しているところも見かけるが、乱獲には弱いとされ、節度を守った採取を心がけたい。
採取から下処理・調理まで
マツバガイの取り方
マツバガイは岩への吸着力がとにかく強い。刺激を与えるとぎゅっと締まって岩に張り付いてしまうため、剥がすタイミングと勢いが肝心だ。
締まる前に一気にナイフを差し込んで起こすか、うまく差し込めない場合は石でナイフの尻を叩いて打ち込んでから起こす、という方法で外していった。

10cmにも迫る大型個体。
マツバガイの下処理
採取した貝は生きたまま宿まで持ち帰り、宿のキッチンを借りて調理・実食することにした。
下処理はまず殻付きのまま塩をのせて塩もみするところから。

塩を乗せると身がキューっと縮まる。そのまま擦り込むようにして揉んでいくと、ぬめりが取れて臭み取りにもなる。

塩もみすると、ぎゅっと縮んで小さくなる。
その後、身を殻から外し、内臓を除去、刺身にする前に口の部分を取り除く。

アワビ同様、口はカットする。

ダメ押しでもう一回塩もみ。
身だけになった状態で、仕上げにもう一度塩もみをして、ぬめりと臭みをしっかり落としてから調理に取りかかった。
マツバガイのお刺身の作り方

刺身にカット
刺身用は薄くスライスし、殻に盛り付けていく。

殻を皿にして盛る。
完成。とっても簡単だ。
刺身と焼きの食べ比べ
今回は同じマツバガイを刺身と焼きの両方で楽しんでみる。

完成したマツバガイの焼きと刺身
焼きは殻ごとグリルで焼き上げ、仕上げにバターと醤油を垂らすだけのシンプルな味付け。
火を入れると肉厚な身がしっかりとした歯ごたえで、どっしりとした食べごたえがある。ワタの苦味や磯の香りも楽しめる。
しかし大型個体となると、大きさも相まってグニグニとかなり固く感じられる。小~中型個体の方が焼きに向いているかも知れないと感じた。

サクサク・コリコリとした歯ごたえが楽しめる
一方の刺身はサクサク、コリコリとした軽快な歯ざわりで、まさに夏にぴったりの一品。
味の印象としては、どちらも甘みがややあり、旨味というよりは歯ごたえの良さが売り。磯の香りは軽く、爽やかな後味だった。(生臭さなどを報告するレポも多いが、今回はひたすら塩もみをしたのが良かったかもしれない。)
仲間も一緒に、4人で宿のキッチンにて調理し実食。飲みながら食べると、これがまた良い酒のつまみになる。「まるでアワビやトコブシ」と好評だった。
採取時の注意点
マツバガイやヨメガカサといったカサガイ類は、一部地域で漁業権が設定されていることがある。採取前には必ず確認しておきたい。今回はUMIMAPなどを使って漁業権の有無を事前にチェックした。
また、カサガイ類は成長がかなり遅いとされ、乱獲に弱い生き物でもある。必要な分だけを採取し、資源を守る意識を持って楽しみたい。
海辺で大きなカサガイを見つけた時には、ぜひ刺身にもチャレンジしてみてほしい。宴会が少し豪華になるはずだ。



